夏クールお気に入りアニソンレビュー

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夏クールはとりあえずこの3枚を選びました。
 
 
「Renegade / STEREO DIVE FOUNDATION」
GANGSTA“ OPテーマ
 
耳にした瞬間SDFと判るアゲアゲの激しいビートで、朝からテンション上げていきたい人、クルマのお供にピッタリな一曲です。
R・O・Nさんの独特な歌唱ゆえ、この曲が好きな人は過去作も好きになる可能性大と言えるほどSDFスタイルが確立されています。
 
余談ですがハードボイルドな作品らしくED*1はバラードで、演出、コンテ、原画は梅津泰臣さんが担当されています。
曲に合わせたカット割りで静止画を繋いでいき、魂を込める歌詞に併せて最後に手話動画を持ってくる構成がシブすぎます。
 
Renegade(アニメ盤)

Renegade(アニメ盤)

 

 

 
 
 
「Lucky Girl* / Yun*chi
"うーさーのその日暮らし 夢幻編” 主題歌
 
DJ TAKUことm-floのTAKAHASHI TAKUが作曲、アレンジで参加。10年前なら間違いなくm-flo loves名義で収録されてそうなTAKUチューンが施された一曲です。
ログ・ホライズンのEDを歌ってた頃は全く気づかなかったのですが、本人クラブイベントを主催するほど打ち込み系大好きなようで、TAKUさんは憧れの人だったのではと思います。
 
上でも書きましたが惜しむらくは本当にこれがm-flo loves名義じゃなかったこと。VERBALさんがMCで参加してくれたら本当に最高で最強の一曲になるのでは・・と思います。
エイべつながりが多かったとはいえlovesコラボは確実に一時代を築いて、華やかなサウンドと記憶を沢山の人に残しているんだと思わされるのでした。
 
 
Lucky Girl*

Lucky Girl*

 

 

 
 
 
「ジュ・ジュテーム・コミュニケーション / 千菅春香」
アクエリオンロゴス” EDテーマ
 
ザッツ80’sアイドルソング。岡田有希子くちびるNetworkを思い出したのは自分だけではないはずです。
作詞、作曲、編曲全て=プロデュースは何と清竜人、彼のバラードとかを知ってるだけに全く毛色の違う、歌うのが超難しいアイドルソングに驚かされたわけですが、直後に彼の最近の活動*2を知って二度驚かされたのでした。
 
千菅さんはマクロスオーディション出身、河森さんを始めとするマクロスのブレインがバーター抜きで真面目に歌姫を選出するこのオーディションに自分は信頼を寄せているし、次回作のマクロス(とその歌姫)も期待しています。
アニメでなくゲームのヒロインということで千管さんの影は薄いのですが、彼女の柔らかでカワイイけど幼くない歌声は唯一無二の存在なわけで、その声にぴったりなこの曲でもって、もっと沢山の人に彼女の魅力が伝われば良いなぁと思うのでした。
 
 
ジュ・ジュテーム・コミュニケーション

ジュ・ジュテーム・コミュニケーション

 

 

*1:「夜の国 / Annabel」SDFプロデュースです

*2:「清 竜人25」なる名前で本人も参加するアイドルユニットをプロデュース。9月にリリースされる1stアルバムは冗談抜きでマストバイです。

アップデートされた始まりの攻殻

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2015年6月27日、公開中の「攻殻機動隊 新劇場版」最後の舞台挨拶が名古屋で行われた。
 
今回の映画は今まで作られた作品群の前日譚で、若かりし頃の草薙素子が描かれているのだけれど、彼女の性格自体は今までのすべての攻殻作品を包括したものとなっており、まさに新劇場版という名に相応しい作品になっていると思っている。
そこで攻殻25周年というこの時期にどうして新劇場版と銘打たれた今作が公開されたのかについて考察したい。
 

まず現在公開中の新劇場版についてだが、今作はARISEシリーズの最終章として制作され、第4の攻殻と呼称されている。
原作を1stと見据え、2ndが押井さんによる劇場版、3rdがSACシリーズをメインとした神山作品群で、
4thの攻殻は1stや2nd寄りの作りなのだけれど、それぞれは基本的な設定を共有するパラレルワールドな作品くらいに思っていればいい。
 
アニメに関して言えば神山さんのSACシリーズとそれ以外は主人公草薙素子の性格や立ち位置が違うことから好き嫌いなど二分されがちなのだけれど、これは神山作品がTVアニメという形態に特化した設定にしているだけで、ただそれぞれのエンタテイメントを愉しめばいいと自分は思っている。
 
そういった過去作を踏まえて、製作総指揮の石川さんはなぜ新劇場版と銘打って、9課の前日譚から攻殻を作りなおそうとしたのだろうか・・・これはまさに先に触れた設定自体がキーポイントになっていると自分は思っている。
なのでここから先は設定界隈に踏み込んで話を進めたい。
 
 
まず社会設定に関して言えば現実の世の中との兼ね合いは25年で少なからず変わってしまった。
監督の黄瀬さんはネット界隈を筆頭に現実世界が攻殻に追い付いてきていて、表現として見せる映像の苦労は減ったけど、様々な設定が書き換えられ更新される必要性もあったと言っている*1
 
この設定更新はキャラクターにも及ぶ。
もちろん一番重要なのは主人公の草薙素子で今回の新劇場版、前にも書いたとおり部隊設定面から行くと士郎、押井さんよりなのだけれど、キャラクターに関して言えばあえて優秀なパーツと呼ぶ9課のメンバーがフルで登場するし、少佐の性格自体も過去作のいいとこ取りとなっている。
 
今作の少佐はゼロ歳児義体という設定になり、自分の存在に不安を抱えるからこそ、ゴーストの囁きを大事にしてそれに従うし、自分の選んだパーツと言う名の仲間に絶対的な信頼を置き、彼らを無意識にかばい、言葉には耳も貸す・・最後の桜監視のシーンはその最たる例なのだけれど、そのシーン自体が重要なのでなく、少佐がそういったアクションを起こしたきっかけが描かれていることがとても感慨深く、士郎版でもあり、押井版でもあり、神山版でもある少佐に仕上がっていると感じた所以だ。
 
また人工知能を持つロジコマは支援に徹するそっけない存在なのだけれど、一卵性双生児二人の電脳を持つサイボーグ”ツムギ”が自己犠牲な行動を取ることで、神山作品の世界観を色濃く見せている。
義体とAI車輌という全く違う存在ながら、共にボディが赤く塗られて上記のような行動をそれぞれに取らせているのは、後のAIの可能性を暗示する意図があってのことだと思う。
 
あとARISEが総スカンとなっている大きな理由の1つは声優陣の総とっかえで、自分もそれまでの声優陣が大好きだけれども、舞台挨拶でバトー役の松田健一郎さんが「士郎さんの攻殻にハマっていた自分が、声優として半人前なのにバトー役をやらせてもらえることにこの上ないプレッシャーと喜びを感じている」といった感じのことをそれはそれは熱く、情感たっぷりに語ったのを聞いて、25年という月日はそういったバトンタッチがあっても良い月日なのだと感じだ次第だ。
 
脚本を務めた冲方さんも、この日の舞台挨拶を含め幾度か「SF冬の時代に攻殻が風穴を開けてくれ、その作品がコンテンツとして25年続いており、これからも末永く続いて欲しい」といった感じのことを話されている。
初期から攻殻アニメに関わられた黄瀬さんなどは押さえつつ、一方で攻殻に影響を受けた人々を新しい血として加えていくという手法はまさに少佐が言うところの「未来を創れ」で、攻殻というコンテンツを未来に活かすための英断だったのでは・・と思う。
 

第4の攻殻は最初に劇場公開のARISEシリーズが4本公開され、次にそれらをテレビ放送用に編集した8本分に新作2本を加えたものをAAA*2として放送、最後にこの新劇場版へとつながって完結している。
それぞれは独立して楽しむことが出来、ARISEという世界観で同じ方向性が持たされているのはまさにSAC(スタンドアローンコンプレックス)な構成ではあるのだけれど、正直視聴者に優しい構成とは言えない。
特に初めて攻殻に触れる人には過去作へのオマージュが大量に盛り込まれているため、一回の視聴ですべてを理解するのは無理だと断言する。
 
それでも、それだからこそ自分はこの新劇場版を初心者のスタート作としておすすめしたいし、ARISEを敬遠していた攻殻フリークにも劇場に足を運んでもらって見て欲しい。
今作は電脳を含めたネットの描写は過去作の中でも一番判りやすいと思うし、攻殻の中で一番早い時期を描きつつも2015年の現代を一番考慮した設定になっている。
 少佐も原作ほどではないけど良くしゃべり、士郎版のように不安を抱え、神山版のように仲間を大事にし、若さゆえヘマもするといった具合だ。
 
新規の方はファイヤースターターを追いたければARISEシリーズへ、オリジンが知りたければ士郎さんのコミックへ、重厚な世界観と映像美に触れたいなら押井さんの劇場版へ、9課の群像劇が見たければ神山さんのSACシリーズへ・・・と、この作品を起点とするとどの過去作もつながりが明瞭になると思うのだ。
攻殻フリークの方はそこかしこに散りばめられたオマージュを見つけることが出来、どうして盛り込んだのか考えさせられ、続編が作られれば新シリーズの9課も面白くなりそうだと感じてもらえると思う。
 
 
舞台挨拶で登壇された声優の二人は印象深いシーンを語られたのだけれど、自分の一番のお気に入り(おすすめ)のシーンは、メンバーにゴーストに従えと解散命令を出した少佐が組織の前に屈しかけ、メンバーの助けを得て反抗に移り、最終的に少佐と真逆の生活をおくってきたクルツにたどり着く最後のシーンだ。
 
特に注目して欲しいのは黄瀬さんが担当された作画の素子で、自分はそこで描かれた数々の素子を見てとても胸が熱くなった。
これは黄瀬さん自身、意図的にそうされたのではないかと思っているのだが、ARISEの少佐が押井版の少佐になったり、神山版の少佐になったりするのだ。
 
それは全身義体の少佐が先に描かれた未来へつながるアイデンティティを確立する証として描き分けられたようにも思えるし、過去の作品を見て来たすべての攻殻ファンが共有する記憶を明示したようにも思え、全てはここから始まり、全てはつながっているというメッセージと自分は受け取っている。
 
 
ニコ生の特番では歴代の監督が勢揃いしてトークを繰り広げ、押井さんが新作への積極的な発言をするなど楽しみは尽きない。
一方で25年という年月は今の人間の寿命からすると決して短くはなく、自分もその寿命を持つ一人として、これまでの攻殻も、これから先の攻殻も出来る限り多くの人と、出来る限り深淵に攻殻の世界に潜って楽しみたいと思う次第だ。
 
これから先の攻殻に関して言えばハリウッド実写版の話題があったりするのだけれど、VR対応ヘッドマウントディスプレイで様々な電脳空間をタチコマと一緒に潜って回るといった既存の映像作品とは違うものなども実現してもらいたい。
そしてお決まりのルーチンでしかネットを使えなくなった現代人にネットの広大さと可能性を今一度知らしめて欲しいと思っている。
 
 
 

*1:一番進化の著しい携帯端末はその最たる例だ

*2:Arise Alternative Architecture

春クールお気に入りアニソンレビュー

 
今まで1クール毎に購入したアニソンCDについてはツイッターで触れていたのですが、こちらに書くことにしました。
 

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というわけで春アニメのCDはとりあえずこの3枚(左上はスリーブです)を購入しました。

3枚については以下に書きますがまずそれらとは別に個人的重大事件を・・・なんと日本のR&B界隈を牽引する美メロマスターKC松尾こと松尾潔さんがアニソンの仕事をされたのです。
曲はダンまちこと「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のOP主題歌、井口裕香さんが歌う「Hey World」です。
この曲はジャニーズからザブングルまで数多くの素晴らしい作品を書かれている馬飼野康二さんの作曲で、これからもお二人には沢山のアニソンを担当して頂き、アニソン界隈を今以上にwktkにしてほしいと思うのです。
 
 
そして購入1枚目「騎士行進曲 / ahgela」。1期に続き「シドニアの騎士」OP曲で、こちらも進軍高揚曲のイメージバリバリです。
間奏ではファンと一緒に前OP曲の名フレーズ「ウチクダケー」をコール&レスポンス出来る親切編曲、サビはPVではないですが詰め襟の応援団を従えて大きな旗を振りながら演舞コールをしたくなります。
 
アニメ「K」のOP曲の頃から思っていることですが、angelaは自分たちの楽曲に"らしさ”を盛り込むことにこだわらず、アニメの世界観を第一にする職人、プロデューサー的な側面を強く感じます。
これは澤野弘之さんとかの対局にあると思っていて、担当するアニメ作品ごとに曲のカラーが違う故、固定ファンがつきにくいかも・・と思ったりもするのですが、是非そのangela道を邁進して欲しいと思ってます。
 
騎士行進曲

騎士行進曲

 

 

 
2枚目は「Tutti! / 北宇治カルテット」。「響け!ユーフォニアム」のED曲です。
歌っているのはアニメのメイン声優4人で、そのワイワイぶりも含めてスカなわけですが、作詞作曲がZAQさんな所に大きく惹かれました。
 
彼女は本当に才女だと思われ、 上のangela同様にプロデュース力もとても高いと思わされます。
ニコ生でアニソン番組*1のMCをやっている彼女を見たことあるのですが、ライブハウスで観客相手に自身の曲「OVERDRIVER」の歌詞を男性MCとの掛け合いライム調に変更して披露しているのを見て、もっとこの人のパフォーマンスが見たいと思いましたし、もっと沢山の人に知ってもらいたいとも思いました。
ですからこの曲も自身のアルバムとかでセルフカバーして歌ってもらいたいです!
 
トゥッティ!

トゥッティ!

 

 

 
 
3枚目は「シュガーソングとビターステップ / UNISON SQUARE GARDEN」。「血界戦線」ED曲で今期の大本命にして最強の1曲です。
曲名通り、酸いも甘いも噛み分けて、目を背けること無く自分たちのカラーを前面に出す彼らは類まれなアーチストだと思うし、これからも3ピースで低迷した日本のポップス界をかき回して欲しいです。
 
今作も曲、歌詞共にユニゾン色いっぱいなのですが、特に歌詞は本当に素晴らしく、前向きな内容なのに聴いていると目頭が熱くなる自分がいます。
更にアニメのED動画が反則級で、曲と組み合わさった仕上がりはアニメ本編を知らなくても見た人を虜にすること間違いありません。
 
そしてこのブログをあげる今日、ユニゾンミュージックステーションに出演してこの曲を唄います。
アニメを好きな人達は勿論なんだけど、ウィークデイの会社務めから開放されたOLさんとか、放送時間中に働いてる夜のお仕事の子たちにも聴いてもらって、少し元気をもらって、ほっこりしてもらいたい・・そんな一曲です。
追伸)今回、このアニメのEDをモチーフとしたスリーブが付くのがアニメイトだけということを知り、千葉で飲んだ後ふらっと立ち寄って以来10年ぶりくらいに名古屋のアニメイトに足を運んでCD買ってきました!
 
 

 

*1:『アニソンCLUB!-R』。animeloLIVE!の番組で有料オンデマンドのほか東京MX、BSフジで隔週放送中

アイクロはアイドルゲーム史に名を刻めるか

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ニコ生でダンスボーカルユニットi☆Risに興味を持ち、彼女たちの楽曲がプリパラなるアニメと密接な関係にあることを知るわけですが、そのプリパラ自体は元々トレーディングカードのアーケード筐体ゲームがスタートで、更に言えばプリパラの前身にプリティーリズムがあって・・と歴史のあるものなのでした。
 
何も知らない人向けに説明すれば上のような文章になりますが、その実まとめブログ界隈で”プリパラおじさん”なるキーワードは目にしていたし、グッスマのニコ生放送*1で女子社員を中心にファンが多いのを見て、これは大人がハマる要素もあるのだなぁと気になっていた・・という感じです。
 
ゲームのプリパラが人気なのはリカちゃん人形から脈々と受け継がれた着せ替えが楽しめる点で、自身がコーディネイトしたキャラクターが画面上でステップを刻む音ゲーが出来、遊んだ直後にプレーヤーの顔写真を名刺代わりに取り込んだ、服装も反映されたキャラクターのカードがオンデマンド印刷で排出されます。
さらにはトモチケなるオマケのカードで交流ができ、貰ったデータの女の子はバックダンサーで一緒に躍らせることが出来て、ハマっている子は皆カードフォルダーを持ち歩くというキャラクターのコーディネート的にもプレイ仲間的にもコレクション要素が強いゲームなのです。
 
 
そんな知識を持ってしばらくした頃、ニコ生のザッピングで見かけたのがアイクロ=アイドルクロニクル*2の番組なのでした。
着せ替えのシーンが目につき、ああプリパラみたいなゲームかぁと思ったのですが、スマホゲーな上に放送時刻が深夜で、これは子供向けのゲームじゃないということに気付きます。
アイドル育成のタッチパッドな音ゲー自体は既に沢山出ていて、差別化を持たせた後発タイトルといった第一印象だったのですが、プレイ動画で流れた音ゲーのメインストリームからハズレるR&Bな楽曲*3を聴いて遊んでみようと突き動かされたのでした。
 
上でプレイ動画と書きましたが、これはスタッフとかでなく一般の方のプレイ動画で、自身のプレイ動画を動画サイトに上げることが出来るのがゲームの大きな特徴の1つになっています。
アイクロでは”見せびらかし”というキーワードをプッシュしているのですが、自身がコーディネートした衣装で踊る女の子たちを、自身のプレイ動画で見せるという2重の見せびらかし要素があるわけで、正直いいとこ突くなぁと思わされました。

 

 

上記リンクは自分のプレイ動画ですが、ソーシャルにとても力を入れていることが伺えます。
プレーヤーはスタート時に録画をするか否かの選択が可能で、"する"を選択すると終了後に動画を保存するかどうかを聞かれます。
保存を選ぶとカヤック*4が運営するLobi*5にアップが開始されます。
アップされた動画にはプレイ環境のタグ*6が自動で付けられ、自身が紐付けしたYouTubeTwitterFacebookなどにもリンク付けができます。
 
Lobiには膨大なスマホゲーム別にチャット&ゲームコミュニティがあるのですが、アイクロ*7だと各種公認チャットに加え”ファッションチェック”、”動画投稿"というコミュニティがあります。
動画投稿は先に触れましたが、ファッションチェックでは自身がコーディネートしたキャラクターのスクリーンショットを上げることが出来るわけです。
しかも月1の公式番組ではコーナーの合間にプレーヤーが上げた動画が使われ出演する声優の3人がコメントを寄せたり、上記コミュニティから ベストなコーディネートを選ぶコーナーがあったりという繋がり具合も魅力的だと思います。
 
 
当方音ゲー自体はプレイステーション時代にパラッパラッパーをやり、ごっそりと間が抜けてスマホでクロスビーツを少し、音楽が好きなペルソナのダンスゲームをVITA共々予約〜というのが近況で経験値は高くないのですが、アイクロ自体はどちらかと言えば簡単な部類の音ゲーではないかと思っています。
もちろん難易度設定は4段階あってHardやVery Hardはとても難しそうなのですが、ゲームの楽しみ方のベクトルは難易度の高いプレイを高い精度でクリアすることに向いていないのです。
 
難易度はあくまで自身のレベルに相応なものを選べばよいだけで、無理して高い難易度を選んでもスタミナ消費が高くなるだけで報酬などには大きく影響しません。
大事なのはあくまで回数をこなすことで、回数に応じて経験値がたまり、それによってキャラクターのレベルやアイドルランクが上がって、より上位の難易度や新しい楽曲、新しいコーディネート箇所が開放され、果てはキャラクターのダンス自体がより凝ったものになるという仕組みなのです。
 
登場するキャラクターは今のところ3人だけなのですが、それぞれに固有のダンサーモデルが付いているようでモーションキャプチャーが反映された動きには三者三様の個性が見受けられます。
しかもレベルを上げることでダンス自体もターンやアクセントなどより複雑な動きになるので、ただプレイするだけでなく録画しながら見比べていく楽しみもあるわけです。
 
 

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コーディネートはトップス、ボトムス、シューズのメイン3箇所とヘッド、フェイス、バックという小物3箇所で、ゲームを進めていくことで髪型も追加されるようです。
メインの3箇所は1着手に入れれば3人に反映されるのですが小物の方は個別で必要で、例えば3人に同じ帽子を付けるなら3個の入手が必要となります。
初期のアイテム枠は80でいっぱいになったら枠を買い足して行く形ですが、課金ガチャをそれほどしなければログインボーナス等で貰えるハピフルスタ*8で補えるレベルとなっています。
ガチャは様々でレア度設定は6種類、このうち最高位URのメイン3箇所だけは課金することでしか手に入らない仕様です。
 
もちろんレア度の高い衣装のほうが凝ったデザインのものが多いですしパラメータ的にも優れていますが、コーディネートの妙を楽しむ側面が強いので必須だとかいったことはありません。
衣装自体は各種メディアとのコラボで入手できるものもあり*9、アイクロ名義のCDにもアクセサリーのコードが付いていたりします。
 
 
最初の印象で自分はこのゲームを大人向けと書きましたが、実際にプレイしてみてその印象が少し変わってきています。
課金を前提にした楽しみ方だったり収入面を鑑みればターゲット層は大人だと思うのですが、衣装のデザイン自体はエロ要素が排除されており、ミニスカートの下などはホットパンツという感じなのです。
ですから今は大人層に向けたプロモーションがメインとなっていますが、ゲーム自体は小さなお子さんにも安心してプレイしてもらえますし、それこそプリパラのようなアーケード筐体展開や土日の早い時間のアニメ展開も可能だと思います。
 
楽曲数やキャラクター自体は正直少ないのでそこが合わないと楽しめない人もいるかと思いますが、キャラクターは個性がはっきりと差別化されていますし、楽曲も非常にねりこまれています。
 既存のルーティンに陥ること無く、プレーヤーとのコミュニケーションを密に取りながら柔軟にアップデートを繰り返し、スマホでの基本無料というゲーム枠を大きく超える試み*10を見るにアイクロからはスタッフの本気度を感じるし、後発のタイトルながらすべての世代のアイドル好きにプレイしてもらいたいと思うのでした。
 
 

 

アイドルクロニクル ユニットソングシリーズ『誓いのビジョン』~RURIver~

アイドルクロニクル ユニットソングシリーズ『誓いのビジョン』~RURIver~

 
今がいつかになる頃に

今がいつかになる頃に

 

 

*1:ねんどろいどなどで有名なグッドスマイルカンパニーが行う製品紹介のニコ生番組。かほたん放送局というタイトルでおよそ月1で行われている

*2:http://ichro.jp/index.html

*3:3人の中のひとり京極瑠璃役の遠藤ゆりかさんが歌うソロ曲「今がいつかになる頃に」

*4:http://www.kayac.com/service/net/713

*5:https://web.lobi.co

*6:自分の動画だとセンターの女の子、楽曲、参加イベント+難易度、プレイの評価、プレイ自体の難易度など

*7:https://web.lobi.co/game/aichro

*8:課金アイテムですが連続ログインや突破報酬などでも定期的に貰えるようになっています

*9:ヤングエースにて長門有希ちゃんの消失との2号連続コラボ

*10:現在MVモードなる大型アップデートを準備中。音ゲーを行うのではなくプレーヤーがクリアした範囲の素材を使ってライブ会場や曲、3人の衣装選択から、果てはビデオ編集者目線でカメラ割りや特殊効果、カットインなどが行えるという機能。

バハコンという船出の輝き

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神撃のバハムート*1のオーケストラコンサートは、50名*2を超えるオリジナルのバハムート楽団が編成され、東京オペラシティで2日間計3回開催されるという1クールのTVアニメでは考えられない贅沢で力の入った催しでした。
 
演奏された曲はすべて指揮を務めた池瀬広*3さんが作曲、しかも1話出来上がるごとにVを見ながら絵に併せて劇伴を作っていき、スタジオでオケ収録が行われたとのことです。
それは映画音楽制作の手法であり、テレビの1クールアニメシリーズで行えば4時間を超える映画用の劇伴を作るのと同じ作業量であり、どれだけ大変で規格外かということが伺えます。
 
コンサートは前後半の間に休憩を挟む形で、35もの曲が披露されました。*4
形態は映像連動型のコンサートで、壇上の背面頭上にスクリーンが設置され、演奏に沿ったアニメ映像が流されました。
映像を見ながら制作された劇伴なので当たり前といえば当たり前なのですが、すべての曲がスクリーン内のキャラクターの動きや画面の切り返しと見事に一致しており、尺もピッタリと終わるのでした。
 
セットリストはテレビストーリーに沿って1話から順を追った構成になっており、各話の間ではMCの井上剛さん*5清水理沙さん*6が登壇し、短めのトークと共に次話のあらすじが語られ、アニメを見ていない人でも映像が判りやすかったのではと思います。
休憩前には奏者の退場と入れ替わりで8名が登場し、次回予告で使われた楽曲 "Preview" をパルマと共に披露、休憩明けには酒場でのアーミラとファバロのダンスが印象的だった"Sip of Passion" が披露されるという憎い演出でした。
 
後半はシリアスになっていくストーリーに併せて荘厳な曲が多くなり、バハムートの覚醒からはずっと高揚感MAXな曲の連続、アーミラとファバロが旅の終わりに互いの気持ちに気付いた"The Journey's End"で幕引きとなるのですが自分の2つ隣りの女性はここから後ずっと泣いていました。
 
最後は清水理沙さんが登壇しエンディングテーマの "Promised Land" を披露、ここだけフルコーラスに併せて映される映像もオリジナルの編集が為されていました。
この曲は理沙さん自身の作詞で、歌詞はまさに旅を終えたあとのアーミラの心情そのもの、声優としても声を充てた彼女が歌うラブソングは2次元のスクリーンを超えて、会場にいたすべての人にアーミラの想いを優しく届けたと思っています。
 
 
ぶっちゃけますと会場は満員御礼ではありませんでしたし、業界関係者が沢山招待されていてそこかしこで名刺交換が行われていました。
自分が見たのは日曜の昼会で、他の公演では客層も違っていたかもしれませんが、興行、儲け的な意味合いで言えば赤なのは間違いないと思います。
 
ただ自分はこの公演にCygamesがこのアニメをきっかけに新設したアニメ事業部の本気度を感じましたし、静かながらも大きな熱量を感じました。
既存の枠組みに囚われること無く、できる事は何でもやっていこうとする姿勢で制作されたアニメコンテンツのバハムートは妥協のないものでしたが、洗練だとかスマートといった言葉からはかけ離れたものでした。
 
しかし妥協をしないからこそ見えた可能性がそこかしこにあったし、嬉しいサプライズも沢山ありました。
会場には子供連れの方も結構いたのですが、幼少期にこういったライブを体験することはその子にとって絶対プラスになると思うし、詳しいストーリー自体は判らずとも、世の中には善と悪とは別のカオスがあって、どうしようもなく惹かれてしまうということをアンコールで再演された "Rage of Bahamut" などを聴いて本能的に感じたのではないかと思います。
 
 そしてこれから先、Cygamesがどんな作品を手がけ、どのような事業展開をしていくのかは判りませんが、第一歩として神撃のバハムートがこのような手法で作られ、このようなコンサートまで開催したことにスタッフの高い志を感じたし、10年後には今以上に語られる作品になっているのでは・・・と思うのでした。
 
 
 
あとがき)幸運にもこの日、自分は2人の方と握手することが出来ました。一人は監督であるさとうけいいちさん、そしてもう一方はこの日の主役、池瀬広さんです。
監督は通路でのすれ違いざまでしたが、握った手を自分よりもさらに強い力で握り返してくれたのが印象的でした。
池さんはサントラ購入でサインに応じてくれたのですが、その時握手してもらった指は細身でひんやりしており、指自体がタクトのように繊細なものに感じられました。
 

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 追記)神撃のバハムートのサントラはBD付きの特装盤と通常盤の2種類があるのですが、絶対に特装盤の方をおすすめします。

なぜならCD2枚の他に特典BDが付いており、そこには新たに録り直した5.1chサントラ付きのアニメ映像が54分も収録されているからです!

サラウンド環境のある人ならコンサートがどんな感じだったかを疑似体験出来ますし、アニメサントラのBDメディアとして純粋にとても貴重なモノだと思います。

 

神撃のバハムート GENESIS オリジナル・サウンドトラック 通常版

神撃のバハムート GENESIS オリジナル・サウンドトラック 通常版

 

 

*1:http://shingekinobahamut-genesis.jp

*2:パンフレットには計86名の奏者がクレジットされています

*3:家政婦のミタや歴代相棒シリーズすべて、TIGER & BUNNY劇場版の劇伴、ASIENCEのCM音楽など幅広く活躍

*4:+アンコールで2曲

*5:本アニメ内で主人公のひとりカイザル・リドファルド役を熱演

*6:本アニメでヒロインのアーミラ役、ED曲を担当